タイヤは、クルマの基本的な機能である「走る」「曲がる」「止まる」の全てに直接関わっているとても重要なパーツです。
そのタイヤの溝が少なくなってきたら、グリップが効かなくなってスリップしたり制動距離が長くなったりするということは、みなさん知ってますよね?
では、安いタイヤと高いタイヤの違いは知ってますか?
そこを知らずに高いタイヤの選択肢を無くしてしまうことは、めっちゃもったいない!
確かに、安いに越したことはないけど、タイヤは乗る人の命を守るパーツなので、この記事を読んでからはタイヤと一緒に安全を買うようにして、クルマを楽しんでください。
この記事では、カー用品店でタイヤ担当として、タイヤを買いにくるお客さんの気持ちとタイヤメーカーの製品を繋げてきた僕がわかりやすく説明します。
いいタイヤが欲しくなる理由だけを知りたい人は目次から飛んじゃってください。
タイヤの基本的なこと
タイヤサイズ

代表的なタイヤサイズはこんな感じです。
軽自動車であれば 155/65R14
普通車は 195/65R15
ミニバンは 215/60R16
4WDとかだと 225/60R18
いかがですか?真ん中の数字はそれほど変わらないのに、左の数字と右の数字が大きくなっていたりしますね?
左の3桁はタイヤの横幅、真ん中の2桁は扁平率といってタイヤの厚み、右のRと数字はインチ数つまりタイヤの外径を表しています。
タイヤの厚みでみると、軽自動車では 155×65%で約100mm、ミニバンでは215×60%で129mmの厚みがあるということがわかります。
空気圧
タイヤの空気圧は、適正空気圧といって、車種ごとに若干違いますが、乗用車用タイヤで220kPaあれば問題ありません。
タイヤの適正空気圧は、運転席のドアを開けた付近に表示があります。
スリップサイン
タイヤには、溝の減少を知らせるスリップサインがついています。
タイヤの周りの△マークを溝のほうにつたっていくと、少し盛り上がっている箇所があり、そこより溝が低くなってしまうと、車検も通らなくなるので注意してください。


タイヤの寿命
タイヤは、溝が残っていても、素材がゴムなので次第に劣化していきます。
なので、タイヤの交換時期は、溝がなくなる頃か、5年以上経過した頃が目安です。
夏タイヤと冬タイヤ
夏タイヤ=ラジアルタイヤともいい、乾いた路面と濡れた路面の走行に適しています。
比較的、ゴムが固く劣化しにくいです。
冬タイヤ=スタッドレスタイヤともいい、雪道やアイスバーンの走行に適しています。
比較的、ゴムが柔らかく、夏タイヤに比べて寿命が短いです。スタッドレスタイヤは、昔は雪や氷の道を走るとき、タイヤからスパイクが生えたスタテッドタイヤが主流でしたが、路面をものすごく傷つけるのでスパイクがないタイヤ、つまりスタッドレスとなったのが由来です。
各メーカーのタイヤブランド
タイヤには、それぞれにブランド名がついていて、性能が違います。
あなたのクルマに合ったブランドを選んだほうがいいので、参考にしてください。
さりげなく順番は僕のオススメ順です。
カー用品店にいた頃は、インセンティブやキャンペーンがあったので販売するタイヤは接客で振り分けていましたが、素直な気持ちで目的ごとにオススメを紹介します。
※ちなみに、安全性を買うというテーマから外れるので、海外系タイヤは除外しています。
静粛性・乗り心地を追求した高級タイヤ
ブリヂストン:REGNO(レグノ)
ミシュラン:PRIMACY HP(プライマシー エイチピー)
ダンロップ:VEURO(ビューロ)
ヨコハマタイヤ:ADVANdB(アドバン)
トーヨータイヤ:PROXES C1S(プロクセス シーワンエス)
グッドイヤー:EAGLE(イーグル)
スポーツカーや高速走行に適したタイヤ
ブリヂストン:POTENZA S007A(ポテンザ)
ヨコハマタイヤ:ADVAN Sport(アドバンスポーツ)
ミシュラン:PILOT(パイロット)
ダンロップ:DIREZZA(ディレッツァ)
トーヨータイヤ:PROXES Sport(プロクセススポーツ)
ふらつきやロードノイズを低減するミニバン用タイヤ
トーヨータイヤ:TRANPATH mpZ(トランパス エムピーゼット)
ヨコハマタイヤ:BluEarth-RV(ブルーアース アールブイ)
ダンロップ:エナセーブRV
ブリヂストン:PlaysRV(プレイズ アールブイ)
ミシュラン:PRIMACY4(プライマシーフォー)
ミドルセダンにオススメな安っぽく見えないコンフォートタイヤ
ダンロップ:LEMANS V(ルマン)
トーヨータイヤ:PROXES CF2(プロクセス シーエツツー)
ブリヂストン:Plays PX(プレイズ)
ミシュラン:PRIMACY3(プライマシースリー)
車体軽めのコンパクトカーに適したタイヤ
ヨコハマタイヤ:BluEarth(ブルーアース)
ダンロップ:エナセーブEC204
トーヨータイヤ:NANOENERGY3(ナノエナジースリー)
グッドイヤー:ECO EG02
ブリヂストン:ECOPIA NH200C(エコピア)
ミシュラン:ENERGY SAVER4(エナジーセイバーフォー)
箱型軽自動車で軽い車体でもちゃんとグリップしてくれるタイヤ
トーヨータイヤ:TRANPATH LuK(トランパス エルユーケー)
ダンロップ:エナセーブEC204(エナセーブ)
ブリヂストン:ECOPIA NH200C(エコピア)
ヨコハマタイヤ:BluEarth RV-02CK(ブルーアース)
高いグリップと静粛性を兼ね備えたラグジュアリーSUV用タイヤ
ブリヂストン:ALENZA(アレンザ)
ミシュラン:PRIMACY4(プライマシーフォー)
トーヨータイヤ:PROXES CL1(プロクセス シーエルワン)
とにかく安いタイヤ
ヨコハマタイヤ:ECOS(エコス)
ダンロップ:エナセーブ
ブリヂストン:NEXTRY(ネクストリー)
見た目からわかるタイヤの性能
実は、タイヤの性能はトレッドパターンという溝のデザインから、だいたいわかります。
自分のクルマのタイヤを見てみてください。
もちろん、これはタイヤの内部構造が考慮されませんので、あくまで目安です。
- 縦のラインが多いと直進安定性が高く、排水性能が高い
- 進行方向と直角の溝が多いと前進する力が伝わりやすく、横滑りに強い
- 細かい溝が多いと静粛性が高く、逆に少ないと静粛性がない代わりにグリップが増す
- 独立したブロックが多いと走破性が高い代わりにロードノイズが強い

ちなみに、スタッドレスは小さめの溝が深くて多いです。これは雪や水分を効率よく排水するための構造で、やわらかいのもアイスバーンでのグリップ力を確保するためです。
高いタイヤと安いタイヤの違い
いよいよ、本題ですww
同じタイヤサイズでもメーカーによって、ブランドによって、かなり値段が違います。
まず、全てのタイヤに言えることは、以下のことです。
- 小さいインチのほうが安く、インチが大きいほど高い
- 扁平率、厚みが少ないほうが高く、65%が普通、75%を超えると逆に高い
- タイヤを半分で切ったときに左右対称のほうが安く、非対称のほうが高い
- レギュラーサイズは比較的安く、少数派のサイズはめっちゃ高い
この記事を読んでからは、カー用品店に行って少し高いタイヤを勧められても寛大な気持ちで受け止めてあげてくださいね?
そして、理解してほしいことがあります。
- 静粛性を追求すると細かい溝を増やして音を吸収する必要がある
- グリップを追求すると接地面を増やすために溝を減らす必要がある
- 直進安定性を追求すると縦溝を多くする必要がある
- 横滑り防止を追求すると横溝を多くする必要がある
上の4つですが、若干矛盾してるのがわかりますか?
そうです、全てに対応することができないのです。
なので、タイヤにはトレッドパターンによって向き不向きがあります。
それを各メーカーはブランド名をつけて表現しています。
いいタイヤをオススメする理由
タイヤは、あなたのクルマの安全を支えている最も重要なパーツのひとつです。
僕も何度か事故を起こしてしまいました(人身事故ではなく対物)が、ブレーキを踏んだときにすぐに停まってくれたから被害が最小限で済んだこともあります。
僕はカー用品店勤務時代、「高速道路を走っていてタイヤがバーストした」や「雨の日にスリップして怖かった」、「急ブレーキしても停まれなかった」といって溝があるタイヤを交換にこられた方を何人も見てきました。
タイヤの交換時期がきたときに、真っ先に「そのタイヤサイズで一番安いタイヤ」を求めるのではなく、あなたのクルマに、そしてあなたの好みや考えに合ったタイヤを選んでください。
タイヤを選ぶ基準を「安さ」ではなく、「走り方」や「静かさ」で選ぶことで、ドライバーだけでなく、車内空間が激変します。
●都会で信号の多いところに住むあなたは、グリップがよく効くタイヤでストレスが軽減。
●山道で曲がりくねったカーブが多いあなたは、カーブが曲がりやすいタイヤで走りやすく。
●家族とよく乗るあなたは、ロードノイズが少ないタイヤで家族との会話もスムーズに。
●高速道路によく乗るあなたは、直進安定性があってハンドルがぶれにくいタイヤで負担が軽く。
クルマは乗り物なので、クルマはしんどいとかうるさいとか感じません。
でも、運転する人、同乗する人は、運転のしやすさ、乗り心地の良さでクルマの楽しみ方も変わります。
タイヤをヒトに例えると
クルマのタイヤは、人間に例えると靴と同じです。
タイヤの接客をしているときも、僕は靴に例えて説明をしていました。
スポーツカーにはランニングシューズ、4WDにはトレッキングシューズ、上品な高級車には革靴、カジュアルなコンパクトカーにはスニーカー、小回りのきく軽自動車には運動靴といったように、そのクルマに合った靴を履かせてやることで、そのクルマのポテンシャルを引き出すことができます。
タイヤと一緒にホイールキャップも

タイヤ交換時に、ホイールキャップが傷ついていたり、割れていたりする場合は、一緒に変えてしまったほうがいいです!
ホイールキャップの記事はこちらからどうぞ。
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